骨粗鬆症は、骨の量が減り、骨の質も悪くなって骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。骨の強さの70%は骨の量(骨密度)で、30%は骨の質で決まると考えられています。
骨粗鬆症になっても、骨密度が下がるだけでは大きな支障はありません。しかし一度骨折すると、心と体に重い障害が残ることがあり、特に太ももの付け根(大腿骨近位部)や背骨(椎体)を骨折すると、死亡のリスクも上がります。そのため、骨粗鬆症を防ぐいちばんの目的は骨折を防ぐことです。
この記事では、骨粗鬆症と食事の関係を、厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2025年版)の「骨粗鬆症」の章をもとに説明します。この章は2025年版で新しく加わったものです。
骨粗鬆症になりやすい人
骨粗鬆症の主な危険因子は、女性であること、高齢であること、体重が少ないこと、閉経していることです。
骨折のしやすさには、栄養以外にも次のようなことが関係しています。
- 骨折のしやすさを高めるもの:骨密度が低い、骨折したことがある、喫煙、飲酒、ステロイド薬の使用、家族に骨折した人がいる
- 骨折のしやすさを下げるもの:運動、体重・BMIが多いこと
また、大腿骨近位部の骨折は、転んで起こることが多いとされています。
年代によって目指すことが違う

骨粗鬆症の予防で目指すことは、年代や性別によって違います。
- 若い人:骨の量をできるだけ多くしておく
- 閉経期の女性:閉経後に骨の量が減るのをできるだけ抑える
- 男性:年をとって骨密度が下がるのをできるだけ抑える
日本人女性では、骨密度は思春期に高まって20歳ごろに最大になり、40歳代前半まで保たれたあと、閉経の前ごろから下がっていきます。骨の量を最大にするのに最も効果的な時期は、少なくとも18歳より前にあるとされています。若いうちに骨密度を高くしておくと、年をとって骨密度が下がっても、骨粗鬆症になる時期や骨折しやすくなる時期を遅らせることができると考えられています。
骨粗鬆症と特に関係の深い栄養素

2025年版では、骨粗鬆症と特に関係の深い栄養素として、カルシウム、ビタミンD、たんぱく質、エネルギー(体格)が挙げられています。ただし、食事からとる栄養素と骨粗鬆症・骨折の関係を調べた研究は少なく、結果が一致していないものも多いとされています。
カルシウム
カルシウムは、骨をつくるミネラルの中で最も重要な成分です。カルシウムが足りないと、骨を溶かす働き(骨吸収)が強まり、骨密度が下がります。
研究をまとめた分析では、カルシウムの摂取量と骨量・骨密度の間に関連が認められており、骨量を保つには十分なカルシウムが必要です。カルシウムの摂取量が少ないことは、骨量が少なくなるリスク因子になるといえます。
一方で、中高年がカルシウムの摂取量を増やしても、骨密度の低下や骨折を防ぐ効果は小さいと考えられています。サプリメントでカルシウムを補った研究でも、骨密度を上げる効果は、あってもわずかなものが多く、骨折を防ぐ効果ははっきり認められていません。
また、1日1,000mg以上のカルシウムのサプリメントを使った場合に、心筋梗塞のリスクが上がったという報告があります。これを否定する見方もありますが、特に1日1,000mg以上のカルシウムのサプリメントを使うことは慎重に考えたほうがよいとされています。
カルシウムの摂取量の基準はカルシウムの働きと1日の摂取量は?推奨量・耐容上限量と不足・摂りすぎの影響を、カルシウムを多く含む食品はカルシウムが多い食品ランキング|100gあたりの含有量を食品群別に一覧をご覧ください。
ビタミンD
ビタミンDは、骨にカルシウムなどが沈着する働き(石灰化)を進め、小腸でカルシウムが吸収されるのを助けます。ビタミンDが欠乏すると、子どもではくる病、大人では骨軟化症になります。
ビタミンDが足りているかどうかは、血液中の25-ヒドロキシビタミンDの濃度で調べます。日本の50歳以上の女性を調べた研究では、この濃度が低いほど骨折が多くなっていました。この濃度を20ng/mL以上に保つことは、骨粗鬆症の予防の点から重要と考えられています。ただし、それより高い濃度に保つことで骨折がさらに減るかどうかは、はっきりしていません。
ふだんの食品からビタミンDを多く摂って骨密度や骨折が改善するかについては、ほとんど報告がありません。ビタミンDは日光を浴びると皮膚でもつくられるため、食事との関係を調べにくいことが理由の1つです。サプリメントの研究も結果は一致しておらず、カルシウムと一緒に摂った場合も含めて、骨粗鬆症のリスクを下げる効果があるかは、今後の検証が必要とされています。
2025年版では、体の中のビタミンDを保つために、食事からビタミンDを摂るとともに、適度に日光を浴びることが望ましいとしています。
ビタミンDの摂取量の基準はビタミンDの働きと1日の摂取量は?目安量・耐容上限量と日光でつくられる仕組みを、ビタミンDを多く含む食品はビタミンDが多い食品ランキング|100gあたりの含有量を食品群別に一覧をご覧ください。
たんぱく質
たんぱく質は骨の重要な成分で、骨をつくるために欠かせません。たんぱく質の摂取量が多い人ほど、のちの骨密度が高いという研究が多くあります。
一方、食事でたんぱく質を増やしても、骨密度の増え方は、治療に役立つといえるほど大きくはないと考えられています。たんぱく質が不足しないようにすることは重要ですが、骨粗鬆症の予防にどの程度影響するかについて、今のところ結論を出すのは難しいとされています。
たんぱく質の摂取量の基準はたんぱく質の働きと1日の摂取量は?推奨量・目標量の表と摂りすぎ・不足の影響をご覧ください。
エネルギー(体格)
体重が少ないこと(低体重)は、骨粗鬆症と、骨粗鬆症による骨折の重要なリスク要因です。体重やBMIが多いほど骨密度が高いことが、多くの研究で報告されています。
このため、骨粗鬆症の予防や骨折のリスクを下げるために、低体重は避けるべきだとされています。一方で、太りすぎや肥満は高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脂質異常症などに関係するため、勧められていません。
そのほかのビタミン
ビタミンC
ビタミンCは、骨をつくる細胞(骨芽細胞)の成長を促して骨をつくる働きを高めるとされています。ただし、ビタミンCの摂取量と骨密度の関連は限られており、ビタミンCを積極的に摂ることと骨粗鬆症の予防との関係は、まだわからないことが多いとされています。
ビタミンK
ビタミンKは、骨の中のたんぱく質(オステオカルシン)が働くために必要で、骨にカルシウムが沈着するのを促すとされています。
骨粗鬆症の女性にビタミンK2の一種(メナテトレノン)を使った研究はありますが、使われた量は1日45mgで、食事でとれる量ではありません。また、ビタミンKを使った臨床試験では、背骨の骨折を減らす効果は認められていません。2025年版では、骨粗鬆症の予防のためにビタミンKを積極的に摂ることを勧める根拠はないとしています。
まとめ
- 骨量を保つには十分なカルシウムが必要ですが、中高年がカルシウムを増やしても骨折を防ぐ効果は小さいと考えられています。1日1,000mg以上のカルシウムのサプリメントは慎重に考えたほうがよいとされています。
- ビタミンDは、食事から摂るとともに、適度に日光を浴びることが望ましいとされています。
- たんぱく質とエネルギーが不足しないようにし、低体重を避けることが大切です。
- 骨密度を高めるには、若いうち(少なくとも18歳より前)が最も効果的な時期とされています。
骨粗鬆症と診断された人や治療中の人は、食事やサプリメントについて医師に相談してください。
関連記事
カルシウムの働きと1日の摂取量は?推奨量・耐容上限量と不足・摂りすぎの影響
ビタミンDの働きと1日の摂取量は?目安量・耐容上限量と日光でつくられる仕組み
ビタミンKの働きと1日の摂取量は?血液を固める・骨をつくる働きと納豆・ワルファリンの注意
たんぱく質の働きと1日の摂取量は?推奨量・目標量の表と摂りすぎ・不足の影響
カルシウムが多い食品ランキング|100gあたりの含有量を食品群別に一覧
ビタミンDが多い食品ランキング|100gあたりの含有量を食品群別に一覧
